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2016年 CRF1000L AFRICA TWIN 林道・高速道路 インプレッション

福島県の“モトスポーツランドしどき“にて行なわれたCRF1000L アフリカツインのメディア向け試乗会へ、2016年2月18日に行ってきた。会場であるモトスポーツランドしどきは、いわゆるモトクロスコース。そして試乗車の足元を見ると、ブロックタイヤ(CONTINENTAL Twinduro)が装着されている。そう、公式のプロモーションビデオのように飛んだり跳ねたりして、実際にそのオフロード性能を試してくださいという趣向での開催だったのだ。

もちろん、それだけではなく、普通の林道やフラットダート、高速道路など一般公道を走行することもできた。モトクロスの経験など、微塵もないTHE 一般ライダーの僕はコースではなく、林道や高速道路を走ってきた。

率直な感想を述べると、スリムで軽快感があってリッタークラスとは思えないほど乗りやすい。そして、進化したDCTはスゴイ!!と感じた。オフロード性能とオンロード性能がとても高いレベルで両立されているうえに、他社の同様なモデルよりも軽量・コンパクトで販売価格もお手頃。一体、ドコに弱点があるのだろうというほど完成度の高いマシンなのだ。

コースは未走行のため、ハイレベルなオフロード性能に関するインプレはないので、注意してほしい。ちなみに、コースを走行した人に感想を聞いたところ、250ccトレールモデルみたいな感じで乗れる!! 停止して足を着くときに、その排気量を思い出すとのことだった。


1988年の初代アフリカツイン XRV650から始まり、1996年の最終型(XRV750)までの累計販売台数は約7万3,000台に上るアドベンチャーモデル・アフリカツイン。その由来はパリダカ参戦マシンのNXR750であり、今回ホンダがその名前を復活させたことからもわかるように、CRF1000L アフリカツインには本気のオフロード性能が与えられているのだ。

という話は、すでにいろいろな方面でなされているうえに、プロモーションビデオでもダートの上を飛んだり跳ねたり…。確かに、すごくカッコいいけれども、実際に公道で走ってみたらどうなんだろう? とくにフロントは21インチだし、高速走行などは苦手なのでは? などと思っていたのだけど、そんな心配はドコ吹く風。ワインディングや林道、高速道路までを楽しく快適に走れる本物のアドベンチャーマシンだった。


林道(フラットダート)での走り

モトクロスコースで飛んだり跳ねたりできるレベルのオフロード性能が与えられているCRF1000Lアフリカツインだが、そうは言ってもリッタークラスのマシン。道幅も狭く、路面状況も悪い林道では気をつかうのではないかと考えていた。

しかし、初めてCRF1000L アフリカツインに乗って、数kmも走らないうちに林道に突入したのだけれども不安を感じることなく走ることができた。路面は時折、まだ路肩に雪が残っていたり一部が凍結していたりと、コンディションはよくなかったものの、低回転域から大トルクを発揮してくれる扱いやすいエンジンと、トラクションコントロールシステムのおかげで楽しむ余裕があったのだ。ラリーマシン風のメーターを視界のスミに入れつつ、アップライトなポジションの21インチマシンを操っていると、否が応でも冒険気分が高まってくる。昨今のスーパースポーツモデルがワインディングでも非常に乗りやすいように、CRF1000L アフリカツインの場合でも、そのオフロード性能の高さが林道での安心感となって現れていた。

とくにDCTモデルはクラッチ操作に気を配ることなく、アクセル&ブレーキ操作と路面の状況などに集中できるので、悪路ではマニュアルクラッチモデルよりもかなり安心して走ることができた。


ワインディング(オンロード)での走り

232kg(DCT:242kg)という車両重量や、1,575mmというロングホイールベースを感じさせないほど、軽快な走りを楽しめた。

試乗した林道はダート区間と舗装区間が入り混じっていたのだが、オンとオフが目まぐるしく入れ替わっても、違和感を覚えたり、身構えたりすることなくどちらも楽しく走れたのは印象的だった。ワインディングといっても、路肩には落ち葉や砂が溜まっている状況だったので、高回転域まで回しているわけではないものの、低中回転域であっても高揚感を演出するように排気音がうまくコントロールされているなと感じられた。

ちなみに、少しタンデムも試してみたので感想を。僕はDCTモデルの後ろに乗ってみたのだけど、タンデム時の快適性は◎。ガッシリとしたグラブバーと、一段高くなっているうえに広い座面の確保されたタンデムシートのおかげで安心して後ろに乗れる。ストローク量の豊富なサスペンションのおかげで乗り心地は良好だし、DCTの変速ショックはほとんど感じることができなかった。いくらDCTがよくできているといっても、ライダーの丁寧なクラッチ操作の方が変速ショックは少ないだろうと思っていたのだがそんなことはなく、メーターを見ていないと、いつ変速しているのかはわからないほど快適だった。


高速道路での走り

個人的に一番感心したのは、高速道路での走り。フロント21インチ・リヤ18インチに、フロント230mm・リヤ220mmというロングストロークのサスペンションを組み合わせた足まわりは、高速走行が苦手なのでは? と思っていたからだ。高速道路に関しては、DCTモデルでしか走行できていないのだけれども、その走りは圧巻。いっさいのクラッチ操作をすることなく、ただアクセルを開けるだけで追い越し時にも瞬時にレスポンスよく反応してくれ、エンジンパワーに関してはまったく不満を感じない。不安定感や、大径ホイールによる変なクセ、ロングストロークの足まわりによるフワフワ感などは皆無で、オフロード性能と高速性能が見事なまでに両立されている。

スクリーンは固定式で調整はできないけれども、ウインドプロテクション性は良好。身長170cm程度であればヘルメットが振られることもなく、あまり風を感じなかった。さらに、ハンドガードが標準装備されており、手にも風が当たりにくかった。

ただ、前後17インチホイールを採用したオンロードモデルと比べると、速度を上げてレーンチェンジを行なった際に、若干フロントまわりが頼りないかなと感じる気もするが、あくまでも気がする程度で不安感はない。

また、前後のサスペンションはストローク量が豊富に取られているため、ハイスピードでのブレーキング時にピッチングが大きく感じるけれども、そこはフルアジャスタブルのサスペンションを活かして用途に合わせてセッティングをすればいいだけの話だ。


DCTとマニュアルクラッチはどちらが買いか?

コースでのオフロード走行はもちろんのこと、林道やワインディング、高速道路においても高い完成度を誇るCRF1000L アフリカツインのニューDCT。確かに、クラッチ操作不要であれだけの走りを実現しており、実際多くの人々が高く評価している。

でも、個人的にはマニュアルクラッチモデルが欲しいなと思った。現在のスポーツカーの進化の方向性を見ていればわかるとおり、クラッチ操作は省いた方が速く走れるうえに、ライディングに集中できることは明白。なので、DCTに対する抵抗感やマニュアルクラッチに固執する気などはあまりないのだけれども、10kgという重さの違いは大きく感じた。

DCTモデルで242kgという車両重量は、この手のモデルとしては決して重いわけではないのだけれども、僕の体格(身長169cm・体重58kg)では、マニュアルクラッチモデルとの取りまわしのしやすさに結構違いを感じた。

それに10万8,000円という販売価格の違いも見逃せない。マニュアルクラッチモデルの135万円(シルバーのみ)という販売価格は、VFR1200X(189万円)はおろか、VFR800X(138万2,400円)よりもリーズナブルなのだから驚きだ。

いよいよ、2016年2月22日より販売が開始されるCRF1000Lアフリカツイン。試乗の機会などがあれば、ホンダの“本気”をぜひ、感じてみてほしい。

CRF1000L アフリカツインの詳細やスペック、アフリカツインの歴史、パリダカ参戦マシンの歴史などについてはコチラの記事で。


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